英語リスニング力のための勉強法-英語は聞くだけでは聞き取れない-②
更新日:2021年5月28日
どうしても英語が話せるようになりたいと願っていた20代半ばの私は、本屋さんで見た「英語は聞くだけでものになる」という言葉を信じ、1年3か月毎日1時間、アメリカで製作されたラジオドラマ「武器よさらば」や「誰がために鐘は鳴る」を聞き続けた結果、英語は聞くだけでものにならないことを我が身で知りました。そんな私は、今では常識になっていますが、もしかすると、自分が発音できる音だけが聞き取れる英語の音になるのではないかと思い、大阪の天王寺にある旭屋に行き、英語発音の基礎を学べる本、(カセットテープ二本付)を買って、今度は三か月ほど発音の勉強に真面目に取り組みました。
その結果どうなったかというと、やはり英語が以前に比べてずっと聞き取りやすくなったのです。ただ、今思い出しますと、以前の自分と比べれば確かに英語が通じるようになったし、ネィティブの英語も聞き取りやすくはなったのですが、それでもまだ、ネィティブの話す英語が聞き取れないことはまだまだありました。ただゆっくりと話してもらえば問題はなかったので、私は毎日NOVAという英語学校の中にあった、voiceと呼ばれているフリーカンバセーションルームに通いました。平日は仕事が終わればすぐにそこに行き終了時間の10時までいましたし、土日は朝10時から夜の10時まで入り浸っていました。確か2200円くらいのチケットを1枚使えば、何時間いてもよかったのです。部屋にはコーヒーメーカーが置いてあり、各々気が付いた人が、コーヒーがなくなったときに新しく入れ、他の生徒さんからのさしいれなんかもあったりして、置いてあったクッションにもたれたりしながら(それはもっと慣れてからのことでしたが)ネィティブのアメリカ人やオーストラリア人、他にもイギリス、ドイツ、アイルランドから来ている若い男女の先生たちと、英語で話をする環境に自分を置きました。私も20代で若かったし、先生たちも若かったし、学校のスタッフの方々は若い三人の女性であったし、本当に楽しく生の英語に触れることができました。ただ、最初の頃はまだ、発音記号の練習はしていなかった時期でちんぷんかんの時もありました。
時間があればNOVAのフリーカンバセーションルームに行くという生活を続けていた頃、自分の英語にはなにか足りないものがあり、それがまだまだ中途半端な英語力しか身についていない理由であると、何となく感じていました。
英語学校としてのNOVAは、レベルが細かく分かれていて、まったくの初心者が7C、そして7B,7Aと上がっていき、6,5,4,3と上を目指していくことになります。私は1年3か月ほど英語を毎日聞いてからNOVAに通い始めましたから、クラス分けテストの結果、最初は7Aからでした。そのあと6になるのにも5になるのにも人より時間がかかったような気がします。他の生徒さんを見ていると、あれよあれよという間に上に上がっていく人もいるのです。私は自分がそういう人たちと何が違うのだろうかと思っていましたが、なんとなくですが、ピアノやギターなど楽器を趣味にしている人達に、レベルを比較的早く上がっていく人がいるようだと感じていました。
今そのときのことを思い出して、やはりその考えは正しかったように思います。私はそのあと三十歳になってからですが、40歳頃まで毎年海外に行くようになり、英語はアメリカの各地で7回、フランス語はパリで1度、ホームステイをしながら英語学校、(パリでは勿論フランス語学校)に通うという経験を積み英語をブラシュアップしていきました。
英語学校ではヨーロッパの生徒と一緒になることが多かったのですが、彼ら彼女らは、母国語のように英語を話します。先生は勿論アメリカ人です。ヨーロッパの生徒は、実によく質問をしますし、アメリカ人の先生はそれに見事に対応します。また、議論になったときも本当によく意見を述べるのです。そういう中で日本人が私一人という経験を何度もしたのですが、そのときに、アメリカ人やヨーロッパ人にはある共通の何かがあり、それゆえにヨーロッパの生徒はアメリカ人の先生とうまく対話ができるのだと感じました。それは、日本語と他の西洋の言葉との違いということになりますが、その違いは、何かリズムということと関係があるのだということを当時はまだ漠然と考えていました。
今私は、ハートビートメソッドを使い、日本人の英語リスニング力の向上に貢献したいと願っていますが、それは、若き日に感じた日本語と西洋の言語との大きな違いを埋めるメソッドとなっています。